レジデントの日常
CASE 01
画像診断
レジデント(後期研修医)の1日
レジデントの仕事
画像診断部レジデントの仕事は、読影、撮影プロトコール指示、注射(造影CT・MRIの造影剤ルート確保*)、問診、アレルギー対応です。病棟業務や外来業務はありません!
読影レポートはレジデント単独では確定出来ず、必ず全て専門医の先生が添削をして下さった上で確定されます。毎回の読影レポートが自分の勉強の成果を試す場所となります。自分の読影が合っているかどうか、添削後のレポートを見るまでとてもドキドキするんですよね…笑。
造影剤ルート確保は普通の点滴です。看護師さんが取れない時などに呼ばれるので、ルート取りに追われて読影が全く出来ない、というようなことは基本的にありません!
撮影プロトコール指示というのは、例えばMRIだと「T1で撮るか、T2で撮るか、撮影方向をどうするか」などを決めます。もちろん主治医の先生からもT2で撮って欲しい、などはありますが、更にそこから「この病気にはこの条件で撮るともっとクッキリ写るんじゃないか…?」などを考えるのが放射線科医の腕の見せどころでもあります。アレルギー対応は、造影後に体が痒くなったなどの副作用を対応します。1年でも1回あるかどうか分からないくらいの頻度ですが、重めのアナフィラキシーに関しては救急部と麻酔科がバックアップとして付いていますので、きちんと初期対応が出来れば問題ないです。
*ルート確保はIVナースとのタスクシェア
慈恵放射線科の特徴
入局1年目のレジデントは、1ヶ月ごとに腹部・胸部・頭頸部…と各分野を集中して学んでいきます。1年ちょっとで読影・IVR・核医学・治療を一通り学ぶカリキュラムになっています(そこから自分の興味で進んでいく分野が少しずつ決まっていきます)。最初のうちは日ごと週ごとで変わらないので、腰を据えて自分のペースで学んでいくことが出来ます。ただ、入局当初から治療希望やIVR希望などがある場合、それに対応したスケジュールを組むことも出来ますので、遠慮なく相談してください!
1日の流れ
朝カンファなどが無い日は基本的にこの時間がスタートです。わりとゆっくり目に出勤される方は8:55に出勤される方もいます笑。勉強しながらどんどん読影を進めていきます。合間に点滴をとったり、問診したり、となっています。
同じ読影室には必ず各分野の読影専門医の先生がいますので、分からないところはすぐに聞くことが出来ます。質問しても嫌な顔をされる先生はおらず、いつも丁寧に教えていただいております。
昼ご飯の時間です。ランチを食べながら色んなレクチャーをしていただけます。最初の頃は、読影のポイント、プロトコールの入れ方、アレルギー対応など、初めてで慣れない仕事にも基礎から丁寧に教えてくださります。
レクチャーが無い日は…外に食べに行きます!慈恵の良いところは何と言っても立地の良さ!近くに中華もイタリアンも韓国料理もあります。虎ノ門ヒルズに食べに行く、なんてこともしばしば…笑。
午後のお仕事が始まります。基本的には午前と変わらず読影・注射・問診です。読影室が静かなことも多いですが、興味深い症例があったりすると、お互いに出し合ったりして「ああでもない、こうでもない」と意見を出し合うのもまた楽しい時間です。
夕カンファが無ければ帰宅です。定時は17:00で、1日の造影CT・MRIが終わっていれば基本的に帰宅可能です。上の先生も含め、皆さんこの時間になるとソワソワしだします笑。上の先生も積極的に帰る雰囲気があり、「なかなか帰りづらい…」といったこともありません(本当は帰ってしまってダメでしたら…すみません汗)。
帰った後は人それぞれです。バイトや外勤に行ったり、家で自習したり、飲みに出かけたり…笑。皆さん自分の時間を大切にされているようで、それを尊重する雰囲気があります。
毎週火曜日は業務終了後に勉強会があります。医局員への連絡はもちろんですが、ここではレジデントの発表の機会が設けられたり、上級医の先生からレジデントの先生に向けたレクチャー、クイズなどを交えて交流の場とされています。最近はコロナウイルスの影響もあり、ZOOMを用いての会となっていますが、それぞれの発表者がスライドに工夫をこらしていて、それを見るのも大変勉強になります。
CASE 02
画像下治療(IVR)
レジデントの日常
1日の流れ
1週間に組まれている予定IVR症例について、IVRチームで画像を見ながら話し合い、戦略を立てます。また、前の週の症例で振り返りが必要なもの、緊急IVRを行ったものについて皆で共有します。
Vascular IVRではPICCやCVポート等の留置、肝細胞癌に対するTACE、シャントPTA、出血やAVMに対するTAE、頭頸部腫瘍へのRADPLAT、non vascular IVRでは画像ガイド下ドレナージ、生検、リンパ漏の塞栓術等を行っています。大学病院なので、様々な分野の症例があり、緊急症例もしばしば経験します。
第1術者をさせて頂ける機会も多く、実際に自分でカテーテルを操作できるため、とても勉強になります。上級医の先生方のサポートも手厚く、わからないことがあればいつでも質問でき、手技に難航した際には道筋を示してくださるので、非常に学びやすい環境です。
気分転換に皆で外に昼食を食べに行ったり(コロナの感染状況にもよりますが…)、お弁当を買いに行ったりもします。
引き続き残りの予定症例を行っていきます。予定症例が終わると、病棟に行き術後の患者さんの経過を見たり、術前の挨拶・説明をしたりします。
CASE 03
放射線治療
レジデントの1日の流れ(金曜日編)
1日の流れ
放射線治療を開始した全ての患者さんについて、担当の先生がプレゼンを行い、情報の共有および治療計画の確認をしていきます。医師だけでなく放射線技師さんや看護師さんも参加し、多職種での確認・連携を行い、個々の患者さんに合わせたより良い治療を目指しています。
指導医の先生方がレジデントのレベルに見合った業務を提供してくださり、指導医の先生と共に初診の患者さんを診ることや、実際にパソコン上でコンツーリング(輪郭設定)を含め治療計画を行うことが代表的な業務となります。また慈恵本院では前立腺癌や子宮頸癌に対する小線源治療や、多種多様ながんに対するIMRTも多く行われており、様々な放射線治療について見学・参加することができ、多くの知見を得ることができます。
放射線治療部では読影室業務とは異なり決まった昼休みの時間があるわけではありませんが、区切りがついたところで適宜休憩を取っています。
引き続き、見学を中心とした外来業務や、パソコンでの治療計画を行います。また午後には前立腺癌の低線量率密封小線源治療(LDR)があり、泌尿器科の先生と共に治療を行います。
指導医の先生方も夕方になると外来が落ち着いてくることが多いため、より集中的に疑問点についての質問や、治療計画について教えていただくことができます。(もちろん他の時間もお忙しい中でも丁寧に教えていただいています。)
その他にも、画像についての疑問は気軽に読影室に行って読影の先生方に聞くことができるのも魅力の1つです。
レジデントは概ね17:30 〜 18:00頃には業務終了となります。帰宅するも残って自主勉強するもバイトに行くも飲み会に行くも、個々人の自由です。(筆者はもっぱら終了後には逸早く帰宅してしまいますが…笑)
メッセージ
放射線治療はなかなか触れる機会がなく、よく知らない学生の方・研修医の先生が多くいらっしゃるかと思います。しかし実は、放射線治療は多くの臨床科に関わる項目であり、放射線科はあまり考えてないという方も含め、是非一度放射線治療とはどのようなものでどのようにしてやっているのかを見学にいらしてくださると嬉しく思います!